- SF作品の楽しみポイントとは?BOOK☆WALKERのSF好き書店員が解説!
- SF好き読書家による、SF大賞候補作別 おすすめポイント
- 春暮康一『一億年のテレスコープ』(早川書房)
- 荒巻義雄・巽孝之 編 『SF評論入門』(小鳥遊書房)
- 宮西 建礼『銀河風帆走 (創元日本SF叢書)』(東京創元社)
- 市川 春子『宝石の国』(講談社)
- 池澤 春菜『わたしは孤独な星のように』(早川書房)
- SF好き読書家に聞いた、おすすめのSF作品!
SF作品の楽しみポイントとは?BOOK☆WALKERのSF好き書店員が解説!
SFの魅力とは?
- 知的好奇心の充足
この先、科学技術がますます発達して、今は到底実現できないことや、人類が昔から空想してきたこと──例えば時間旅行や異星への移住が現実になる時が訪れるかもしれません。しかし、今これを読んでいる人の大半は22世紀を迎える前にこの世を去ることになるはずで、(そんな時がいつか来るとして)滅亡の時までに人類が経験することのうちのごく僅かしか目撃できません。SFはそんな時空間の制約を受けず、遠い未来に本当に実現するかもしれない様々な出来事を、説得力のあるディテールと共に読者に見せてくれることが多く、本来満たしようのない知的好奇心を大いに満たしてくれます。
- 人類や社会に対する洞察
人が新たな技術を獲得すれば必然的に新たな課題が生まれ、未知の事態に遭遇すれば社会が大きく変動します。つまりSFは単に想像力を駆使した愉快な娯楽を提供してくれるだけでなく、世界を現実から少し”ずらす”ことで、人や社会が今後直面しうる葛藤や根源的な問いを浮き彫りにし、逆説的に読者が現実と向き合うきっかけを作るという役割も果たします。
SF好き読書家による、SF大賞候補作別 おすすめポイント
春暮康一『一億年のテレスコープ』(早川書房)
一億年のテレスコープ
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【あらすじ】
子どもの頃から星空に魅了されてきた鮎沢望(のぞむ)は、高校の天文部で天体観測に夢中になり、大学では電波天文学を専攻した。
やがて望は、太陽系規模の電波望遠鏡を実現するための、独自の超長基線電波干渉計(VLBI)ネットワークのアイデアを夢想するようになる。
天文部時代からの友人の千塚新(あらた)、大学の研究者仲間の八代縁(ゆかり)という夢を共有する仲間を得た望は、3人で計画の実現を検討し始めた。
それは、望、新、縁ら人類が、後に銀河文明の反映に貢献する道へと繋がっていく、小さな第一歩であった ――。
SF好き読書家のおすすめコメント
- 銀河の果てまで見たいという憧憬。現在の活動が、のちに神話になるという時間の流れ。伝承の変遷とそれでも語り継がれた想い。(本の蟲さん)
- 電波望遠鏡、時間、空間すべてが超スケール。そこに存在する知性たちの生活もユニークで刺激的。さらに謎の不可視物体まで出てきて、ドキドキわくわくが止まらない。(ノベツさん)
荒巻義雄・巽孝之 編 『SF評論入門』(小鳥遊書房)
SF評論入門
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【あらすじ】
SF評論に何ができるか?
20世紀中葉、安部公房はSFを「この名づけがたきもの」と呼んだ。
21世紀現在、世界はSF化してしまった。
荒巻義雄の言う「SFする思考」は新しい日常の随所に浸透している。
ならばSF評論は、いかにSF的現在を、そして現在 SFを語りうるか?
SF好き読書家のおすすめコメント
- 自分こそSF初心者ですが、SF作品とひとくちに言っても本当に様々なアプローチがあり、あまりにも壮大な思考や哲学があるのだなと、興味深く読めます。(Yokoさん)
宮西 建礼『銀河風帆走 (創元日本SF叢書)』(東京創元社)
銀河風帆走 (創元日本SF叢書)
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【あらすじ】
ぼくらは星々を越えて飛ぶ。
人類の存続を賭けて。
別の銀河をめざす宇宙船たちを襲う
試練を描く表題作をはじめ
ハードSFの俊英が放つ第一短編集
第四回創元SF短編賞受賞作収録
SF好き読書家のおすすめコメント
- 純粋な学問としての科学の面白さと物語的な面白さが掛け合わせられるところ(ほたるさん)
市川 春子『宝石の国』(講談社)
宝石の国(1) (アフタヌーンKC)
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【あらすじ】
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体、のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。
SF好き読書家のおすすめコメント
- SFの魅力は、ポストヒューマンの描き方と仏教的世界観が見事に乳化していること。(KAKUSAさん)
- 考察が捗る作品、でもまずは無防備に受け止めて(luadaguaさん)
池澤 春菜『わたしは孤独な星のように』(早川書房)
わたしは孤独な星のように
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【あらすじ】
叔母が空から流れたのは、とても良い秋晴れの日だった――
静かに滅びゆくコロニーで暮らす女性ふたりが、叔母の弔いのために小さな旅をする表題作。きのこ――菌類を脳に埋め込むことが常識になった世界での青春譚「糸は赤い、糸は白い」。
SF好き読書家のおすすめコメント・レビュー
- 銀河の果てまで見たいという憧憬。現在の活動が、のちに神話になるという時間の流れ。伝承の変遷とそれでも語り継がれた想い。(イツキさん)
- 他者との共感能力という想像しやすい特殊能力がキノコとの共生という意外な方法で実現しているという設定と、そんな技術が発達してもなお人間関係や迷信からは逃れられない人々の対比が魅力です。(のらくろさん)
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SF好き読書家に聞いた、おすすめのSF作品!
- クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』(本の蟲さん)
- 橋 秀之『百万光年のちょっと先』(ノベツさん)
- 冬木 糸一『SF超入門』(Yokoさん)
- 柞刈湯葉『重力アルケミック』(ほたるさん)
- ケン・リュウ『紙の動物園』(KASUKAさん)
- クラーク『幼年期の終わり』(luadaguaさん)
- アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(イツキさん)