特集!第25回本格ミステリ大賞 受賞作・候補作

2025/05/15


第25回本格ミステリ大賞の結果が2025年5月9日(金)に発表されました。

今回の本格ミステリ大賞の受賞作は下記で決定しました。
  • 小説部門『彼女が探偵でなければ』
  • 評論・研究部門『死体置場で待ち合わせ 新保博久・法月綸太郎 往復書簡』
おめでとうございます!


【予想投票チャレンジ集計結果】

読書メーターで開催した投票企画「本格ミステリ大賞予想チャレンジキャンペーン」の予想票数は以下となりました。

小説部門
  • 予想票数1位
    • 『サロメの断頭台』夕木春央
  • 予想票数2位【的中!】
    • 『彼女が探偵でなければ』逸木裕

評論・研究部門 
  • 予想票数1位【的中!】
    • 『死体置場で待ち合わせ 新保博久・法月綸太郎 往復書簡』法月綸太郎, 新保博久
  • 予想票数2位
    • 『クリスティを読む! ミステリの女王の名作入門講座』大矢博子

見事、評論・研究部門の予想投票1位作品が的中となりました。

読書メーターでの予想チャレンジキャンペーンに参加いただいた皆さまありがとうございました。
受賞作および候補作を、投票いただいたユーザーの皆さんのコメントと一緒に紹介しますのでぜひチェックしてみてください!
本格ミステリジャンル発展のために、年間の最優秀作品(小説部門、評論・研究部門)を表彰する文学賞です。受賞作は本格ミステリ作家クラブ会員の投票によって決まり、公式サイトでは受賞者コメントや選評が公開されています。

※外部サイトに遷移します

第25回 本格ミステリ大賞<小説部門>受賞作

彼女が探偵でなければ

彼女が探偵でなければ

逸木 裕

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【あらすじ】
こうなることを知っていたら、わたしは探偵をやめていただろうか。 森田みどりは、高校時代に探偵の真似事をして以来、人の〈本性〉を暴くことに執着して生きてきた。気づけば二児の母となり、探偵社では部下を育てる立場に。時計職人の父を亡くした少年(「時の子」)、千里眼を持つという少年(「縞馬のコード」)、父を殺す計画をノートに綴る少年(「陸橋の向こう側」)。〈子どもたち〉をめぐる謎にのめり込むうちに彼女は、真実に囚われて人を傷つけてきた自らの探偵人生と向き合っていく。謎解きが生んだ犠牲に光は差すのか。痛切で美しい全5編。

=投票ユーザーのコメント=
  • 第二弾も失速しない面白さ。不穏な気配をまとったまま大人になったみどりは日常から遠くないところに潜む殺意を見逃さない。探偵としての覚悟を持ちながら我が子に自分の性質の片鱗を見て後悔する母でもある。これからも彼女の物語を追いかけていきたい。(紀梨香さん)
  • 探偵の魅力に溢れていたから是非たくさんの人に読んでほしい、と思い受賞してほしい希望作品として選びました。(えみさん)

第25回 本格ミステリ大賞<評論・研究部門 >受賞作

死体置場で待ち合わせ 新保博久・法月綸太郎 往復書簡

死体置場で待ち合わせ 新保博久・法月綸太郎 往復書簡

法月綸太郎,新保博久

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【あらすじ】
圧倒的な博覧強記のミステリ評論家×ミステリ実作者にしてカリスマ評論家 いつまでも終わらない大好きなミステリの話。 「モルグ街の殺人」の定説の疑問、クリスティー失踪の真相、 芥川龍之介「藪の中」の推理、坂口安吾『復員殺人事件』解決編への挑戦、 さらには多重推理、特殊設定など“ミステリの現在”を読み解く―― 何度読んでも新発見をする小説は 本当にあるのです。

=投票ユーザーのコメント=
  • とにかく情報量が凄い!話題の軌跡をなぞるだけで10年は退屈しないと思う。(がらくたどんさん)
  • 往復書簡のかたちではあるが、まるで達人同士のチェスのように緻密な舌戦。アーキビストの血を沸かせる。(中玉ケビン砂糖さん)

第25回 本格ミステリ大賞<小説部門>候補作

伯爵と三つの棺

伯爵と三つの棺

潮谷 験

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【あらすじ】
時代の濁流が兄弟の運命を翻弄する。 フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。 容疑者は「四つ首城」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。 DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?

=投票ユーザーのコメント=
  • 読む人を選ばない面白さでミステリファンの裾野を広げてくれそうだから。(さっちゃんさん)
  • DNA鑑定や指紋採取もないフランス革命時代が舞台ということで、ミステリとして本格的に思う。(セシルの夕陽さん)
ぼくは化け物きみは怪物

ぼくは化け物きみは怪物

白井 智之

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【あらすじ】
クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。 滅亡に瀕した人類に命運を託された〝怪物”。 郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。 異星生物のバラバラ死体を掘り起こした三人組。 見世物小屋(フリークショー)の怪事件を予言した〝天使の子”。 凶暴な奇想に潜む、無垢な衝動があなたを突き刺す。 白井智之は容赦しない。

=投票ユーザーのコメント=
  • 短編集、特に「マーティリアンの手首」ラスト1行の着地が、すごかった。どの作品もストーリーにひねりがあり、整合性のある終わり方だった。著者にしか思いつかない内容だと思う。読書の至福。(グラスホッパーさん)
  • 書き下ろしの短編がとにかくエグい。著者だからこそ描ける唯一無二の世界観と多重解決の凄まじさが溶け合い、読後しばらく放心した。(三編 柚菜さん)
永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした (星海社FICTIONS ミ 3-03)

永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした

南海 遊

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【あらすじ】
『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ。 「私の目を、最後まで見つめていて」 そう告げた『道連れの魔女』リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。 母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。 葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。 大嵐により陸の孤島(クローズド・サークル)と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかーー

=投票ユーザーのコメント=
  • 「館」x「密室」x「タイムループ」の三重奏に加えて、3つの呪いをかけられた美しい魔女が主人公の特殊ミステリ。ミステリ・ファンが大好きなモノばかり用意された豪華さで、リーダビリティも素晴らしく、ミステリのロジックも申し分ない。(さーくる・けーさん)
  • すべて読んだが、この中ではもっとも面白かった。ミステリーとSFが融合した快作で、設定が斬新であった。(人生意気に感ずさん)
サロメの断頭台

サロメの断頭台

夕木 春央

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【あらすじ】
全ての謎が解けるとき、『サロメの断頭台』が読者を待つ。 天才芸術家の死、秘密を抱えた舞台女優、盗作事件に贋作事件、そして見立て殺人。 大正ミステリを描き抜く『方舟』著者の本格長編。 油絵画家の井口は、元泥棒の蓮野を通訳として連れて、祖父と縁のあったオランダの富豪、ロデウィック氏の元を訪ねた。 美術品の収集家でもあるロデウィック氏は翌日、井口のアトリエで彼の絵を見て、「そっくりな作品をアメリカで見た」と気が付いた。 未発表の絵を、誰がどうして剽窃したのか? 盗作犯を探すうちに、井口の周りで戯曲『サロメ』に擬えたと思われる連続殺人が発生してーー

=投票ユーザーのコメント=
  • ほとんどの作品を読みましたが、やはり『サロメの断頭台』は頭1つ抜けた重厚感と安定感がありました(なつめさん)
  • 古典的なタイトルと導入という印象があるけど、その後の展開は時代にあったスリリングなスピード感をもっているから。(masaboxさん)


第25回 本格ミステリ大賞<評論・研究部門>候補作                                       

本格ミステリの構造解析――奇想と叙述と推理の迷宮

本格ミステリの構造解析――奇想と叙述と推理の迷宮

飯城勇三

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【あらすじ】
他に類を見ない特殊な構造を持つ唯一無二の小説ジャンル〈本格ミステリ〉。その特殊な構造を解析し、その特殊な構造が生まれた理由を考察した評論書! 作品を考察する場合〈何を=テーマ〉、〈どう描いているか=舞台や人物〉だが、本格ミステリの場合〈何を=トリックやプロット上の仕掛け=奇想〉、〈どう描いているか=叙述〉に加えて〈どう解き明かすか=推理〉が加わる。奇想、叙述、推理を本格ミステリの構造に組み込んで解析した評論書。

=投票ユーザーのコメント=
  • わかりやすいうえに、深い気づきへと促してくれる(袖崎いたるさん)
  • 評論部門の受賞・候補の常連かつ、テーマが本格ミステリに絞られているので。(schizophonicさん)
クリスティを読む!: ミステリの女王の名作入門講座 (キイ・ライブラリー)

クリスティを読む! ミステリの女王の名作入門講座

大矢 博子

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【あらすじ】
“ミステリの女王”の数々の名作は、なぜこんなに面白いのか? 数々の名作が世界中で読まれ、翻訳され、映像化・舞台化され、没後48年を経ても変わらぬ人気を保ち続ける──まさしくミステリの女王、アガサ・クリスティ。大人気カルチャー講座「アガサ・クリスティを読む」の講師を務める書評家が、〈探偵〉〈舞台と時代〉〈人間関係〉そして〈騙(だま)しのテクニック〉に焦点を当て、各章でテーマに沿ったおすすめ作品を紹介しながら魅力を丁寧に語ります。最終章〈読者をいかにミスリードするか〉では、女王の驚くべきテクニックをじっくり解説。クリスティのすごさを実感できる、入門に最適な一冊!

=投票ユーザーのコメント=
  • ただの作品経緯などの羅列ではない、テーマごとのまとめ方は著者の横断的な作品群への接触ができ、再読を促されるので。(masaboxさん)
  • クリスティー作品を読みたくなる。ここまでお勧めが上手な評論本はなかなか無いと思う。著者が真のクリスティー好きだからこそ、作品と読者を結びつけるのが上手い!と感じました。つけるのが上手い。(なつなつさん)
日本の犯罪小説

日本の犯罪小説

杉江松恋

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【あらすじ】
なぜ小説の犯罪者は、かくも魅力的なのか。 昭和の頃、小説の中の犯罪者は、固定観念を打ち砕く革命家のようでもあった。激しい怒りと、震えるような苛立ちが彼らを突き動かしていた。作家たちは、彼らに何を仮託していたのか。そして、社会の変化と成熟は、犯罪小説をどう変容させたのか。大藪春彦、江戸川乱歩、松本清張、阿佐田哲也、池波正太郎、小池真理子、宮部みゆき……18人の作家の創作の秘密に、「犯罪」のキーワードから迫る、迫真の文学評論。

=投票ユーザーのコメント=
  • 自分が読んだ小説の彼の書評に目を通し、あらすじの要約の簡潔さと自分が読んでる時は考えなかった視点からの分析が興味深かった。(yasubeiさん)
  • なぜ小説の犯罪者は、かくも魅力的なのか。という帯の文言にひかれた(マントヒッヒさん)
ミステリから見た「二○二○年」

ミステリから見た「二○二○年」

千街晶之

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【あらすじ】
ミステリ作家は時代から逃げない。 新型コロナのパンデミックによって生活や社会構造が激変した2020年。 この激動の年にミステリという文芸領域がこの時代をどう描き、どう解釈したのか? 新型コロナ、東京オリンピック、分断国家、政治腐敗、失われた三十年、ポリティカルコレクトネスと多様性…… 2020年以降の日本を象徴する出来事を扱ったミステリを通し観察することで見えてきたこととは? 圧倒的な読書量と鋭い分析力を誇る著者が、現代日本の歪みに物申す。

=投票ユーザーのコメント=
  • 時代の転換期とミステリを関連付けて評論しているという点にひかれました。紹介されているミステリも読みたくなります。(ありんこさん)
  • 斬新な角度から時代を読み解いていく様に感動すら覚えた。(読書家さん#KnHQIHさん)
予想チャレンジキャンペーンに参加された皆様には、参加賞含む賞品のBOOK☆WALKERコインを5/20頃に読書メーターのメッセージにてお贈りする予定です。


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