特集!【第173回 芥川賞・直木賞】候補作・結果発表

2025/07/16

芥川賞・直木賞


第173回 芥川賞・直木賞の結果が2025年7月16日(水)に発表されました。
今回は芥川賞・直木賞ともに「該当作なし」となりました。

読書メーターで開催した投票企画「第173回芥川賞・直木賞予想チャレンジキャンペーン」の予想票数は以下となりました。

芥川賞
  • 予想票数1位 向坂くじら『踊れ、愛より痛いほうへ』
  • 予想票数2位 日比野 コレコ『たえまない光の足し算』

直木賞
  • 予想票数1位 柚月裕子『逃亡者は北へ向かう』
  • 予想票数2位 塩田 武士『踊りつかれて』

読書メーターでの予想チャレンジキャンペーンに参加いただいた皆さまありがとうございました。
候補作を、投票いただいたユーザーの皆さんのコメントと一緒に紹介しますのでぜひチェックしてみてください!


【目次】

第173回 芥川賞候補作『トラジェクトリー』

トラジェクトリー

トラジェクトリー

グレゴリー・ケズナジャット

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【あらすじ】

英会話教師として日本で就職したブランドンは、アポロ11号の月面着陸計画の記録を教材に、熟年の生徒・カワムラとレッスンを続ける。やがて、2人のあいだに不思議な交流が生まれていく。日本に逃げたアメリカ人と、かつてアメリカに憧れた日本人。2人の人生の軌道<トラジェクトリー>がすれ違う時、何かが起きる――アメリカ出身の作家が端正な日本語で描く、新世代の「越境文学」

【投票コメント】
  • 客観的に描かれた日本人、本質を突かれた日本人、その絶妙なバランスが面白い(水道さん)
  • 今まで読んだことがない新しい目線を感じた(sayuriさん)

第173回 芥川賞候補作『鳥の夢の場合』

鳥の夢の場合

鳥の夢の場合

駒田 隼也

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【あらすじ】
「おれ、死んでもうた。やから殺してくれへん?」蓮見の頼みに、初瀬が自らの意思を決めるまでの五十五日。夢と現、過去と現在を行きつ戻りつ、視点は移ろい境界は溶けて、原初の感覚から目の前の世界を見つめていく。

【投票コメント】
  • 視点がクルクル入れ替わるのが面白かったです。筆致がヌルヌルしているというか、視点が溶け合って境界線があいまいになる感覚が新鮮でした(こでまりさん)
  • 何度も読み返したくなるような内容(相田うえおさん)

第173回 芥川賞候補作『踊れ、愛より痛いほうへ』

踊れ、愛より痛いほうへ

踊れ、愛より痛いほうへ

向坂くじら

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【あらすじ】
幼い頃から納得できないことがあると「割れる」アンノは、かつて母のおなかにいたはずの「妹」が自分のせいでいなくなったことを知り、衝撃を受ける。高校生になったアンノは、恋愛を疑い、家庭を拒否して、家の庭にテントを建てて暮らし始めるが――。

【投票コメント】
  • 生きづらいが逞しく生きる子アンノを確かな筆致で描いている(Pipi⭐️ぴぴ@読書鳥さん)
  • 奇妙ながらも綺麗な文章で引き込まれた(ケンさん)

第173回 芥川賞候補作『たえまない光の足し算』

たえまない光の足し算

たえまない光の足し算

日比野 コレコ

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【あらすじ】
「かいぶつ」と呼ばれる時計台が見下ろす公園で出会った二人の少女と一人の青年。美容外科のポスターに啓示を受け、花を食べる“異食の道化師”薗(その)。「みんなのひと」になりたくて、フリーハグを続ける“抱擁師”ハグ。“プロの軟派師”としてデビューしたばかりの弘愛(ひろめぐ)。 「こんなふうだったら、かんぺきだと思う」 「なにが」 「人と人とのむすびつきがさ」 ここは帰るべき家を持たない少年少女たちの残酷な楽園。21歳の新鋭が爆発させる愛と幻想の世界!

【投票コメント】
  • 日比野コレコにしか出せないような世界観、そして比喩!現実と寓話的な世界が絡み合ってものすごい世界を構築していると思います(あさん)
  • 不思議かつメッセージ性が高い純文学(Masakazu  Suzukiさん)

第173回 直木賞候補作『ブレイクショットの軌跡』

『ブレイクショットの軌跡』

『ブレイクショットの軌跡』

逢坂 冬馬

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【あらすじ】
移り変わっていくブレイクショットの所有者を通して、現代日本社会の諸相と複雑なドラマが展開されていく。人間の多様性と不可解さをテーマに、8つの物語の「軌跡」を奇跡のような構成力で描き切った、『同志少女よ、敵を撃て』を超える最高傑作。

【投票コメント】
  • LGBTQや派遣労働、教育格差、投資誘導ビジネス等々、国内外の現代社会の諸問題を「ブレイクショット」という”共通項”でリアルにスリリングに鮮やかに描き切った大作(sekkeyさん)
  • 先が見えない展開でページをめくる手が止まらず、圧巻のラストは読後時間が経っても忘れられない爽やかなものだった(ドキンちゃんさん)

第173回 直木賞候補作『乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO』

『乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO』

『乱歩と千畝 RAMPOとSEMPO』

青柳 碧人

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【あらすじ】
大学の先輩後輩、江戸川乱歩と杉原千畝。まだ何者でもない青年だったが、夢だけはあった。希望と不安を抱え、浅草の猥雑な路地を歩き語り合い、それぞれの道へ別れていく……。若き横溝正史や巨頭松岡洋右と出会い、新しい歴史を作り、互いの人生が交差しつつ感動の最終章へ。「真の友人はあなただけでしたよ」――泣ける傑作。

【投票コメント】
  • もしもあったかもしれない世界線のストーリーに惹かれました。その場で見てきたような臨場感に浸れる作者の筆致もとてもドラマティックで読みやすかったです(こでまりさん)
  • 実在の歴史的人物を題材に、夢や希望や不安を織り交ぜた成長ストーリーが読者の共感と感動を呼び起こすと思う(れっつさん)

第173回 直木賞候補作『嘘と隣人』

『嘘と隣人』

『嘘と隣人』

芦沢 央

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【あらすじ】
ストーカー化した元パートナー、マタハラと痴漢冤罪、技能実習制度と人種差別、SNSでの誹謗中傷・脅し……。 リタイアした元刑事の平穏な日常に降りかかる事件の数々。 身近な人間の悪意が白日の下に晒された時、捜査権限を失った男・平良正太郎は、事件の向こうに何を見るのか?

【投票コメント】
  • 現代の社会で問題になってる事柄を日常の謎系ミステリに上手く落とし込んでいる。そして連作のどの作品も後味は決して良くなくてやりきれない思いが残るけれど、それだけじゃない。希望の光が残されているところなどに、小説としての上手さを感じる(黒百合お七さん)
  • 現代社会の闇を巧みに描いた連作短編集で、社会性とエンタメ性のバランスが秀逸(kazuyuki yonekiさん)

第173回 直木賞候補作『踊りつかれて』

『踊りつかれて』

『踊りつかれて』

塩田 武士

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【あらすじ】
首相暗殺テロが相次いだあの頃、インターネット上にももう一つの爆弾が落とされていた。ブログに突如書き込まれた【宣戦布告】。そこでは、SNSで誹謗中傷をくり返す人々の名前や年齢、住所、職場、学校……あらゆる個人情報が晒された。 ひっそりと、音を立てずに爆発したその爆弾は時を経るごとに威力を増し、やがて83人の人生を次々と壊していった。 言葉が異次元の暴力になるこの時代。不倫を報じられ、SNSで苛烈な誹謗中傷にあったお笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。ほんの少し時を遡れば、伝説の歌姫・奥田美月は週刊誌のデタラメに踊らされ、人前から姿を消した。 彼らを追いつめたもの、それは――。

【投票コメント】
  • 誰もが自分の正義を振りかざすようになった。その怖さを上手く表現していると思う。誰もが加害者にも被害者にもなりうるだけにリアル(たぬきちさん)
  • 力作の多かった候補作品のなかでも、現代の奥底に潜む社会問題を提起しながら、心打つ人間ドラマに仕上げた塩田武士さんの力量に一票です(katsukatsuさん)

第173回 直木賞候補作『Nの逸脱』

『Nの逸脱』

『Nの逸脱』

夏木 志朋

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【あらすじ】
爬虫類のペットショップでアルバイトをする金本篤は、売れ残ったフトアゴヒゲトカゲが処分されそうになるのを見て、店長に譲ってくれと頼む。だが、提示された金額はあまりに高額で、「ある男」を強請って金を得ようと一計を案じるが……。自ら仕掛けた罠が思いがけぬ結末を呼び込む「場違いな客」など、町の「隣人」たちが日常の奈落で繰りひろげる3つの物語。

【投票コメント】
  • 独特の世界観というかジャンルを超越した感じのストーリー内容がツボで魅力的でした(みっくんさん)
  • 収録の三作品とも、現代日本人の疲れ切ってイライラした空気をリアルに描いていて、そこを良くも悪くも突破する力を感じる(水道さん)

第173回 直木賞候補作『逃亡者は北へ向かう』

『逃亡者は北へ向かう』

『逃亡者は北へ向かう』

柚月 裕子

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【あらすじ】
大震災直後に殺人を犯し、死刑を覚悟しながらもある人物を探すため姿を消した青年。自らの家族も被災した一人の刑事が、執念の捜査で容疑者に迫る。壊れた道、選べなかった人生――混沌とした被災地で繰り広げられる逃亡劇! 『孤狼の血』『盤上の向日葵』の著者が地元・東北を舞台に描く震災クライムサスペンス。

【投票コメント】
  • あの震災がもたらした被害は当時のものだけではなく残った人たちの人生を狂わせた、とても重くて苦しい物語だった。今も読みながら感じた気持ちは忘れていないので、そんな読書をさせてもらえたことはとてもありがたいことだ。この物語はいつまでも忘れてはいけないと思う(ふわりんさん)
  • 釜石市出身の作者が満を持して発表した作品。その覚悟が作品に表れている(ふみさん)


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